『Le Fils 息子』『La Mère 母』同時上演

Cast&Staff

岡本圭人
Profile
音楽活動に加え、バラエティ・舞台・TVドラマ・ラジオ・CMなどマルチに活躍。2018年から20年まで、アメリカ最古の名門演劇学校であるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツへ留学。卒業後、『Le Fils 息子』(21)でストレートプレイ初舞台・初主演を飾る。近年の主な出演作に、【舞台】『チョコレートドーナツ』『ハムレット』(23)、『4000マイルズ~旅立ちの時~』『盗まれた電撃-パーシー・ジャクソン ミュージカルー』『M.バタフライ』(22)、『Le Fils 息子』(21)、【ドラマ】『大奥Season2』(23・NHK)、『リズム』(23・CX)、『育休刑事』(23・NHK)など。1月29日、舞台『ラヴ・レターズ~2024 New Year Special~』に出演予定。
Comment

『Le Fils 息子』初演時に、観に来ていた友人の言葉が、今でも耳に残っています。

「この舞台を上演してくれてありがとう。本当に観られてよかった。救われたよ。」

この言葉を聞いたとき、途端に涙が流れました。今までの人生が報われたような気がしました。そして新たに、役者としての自覚が芽生え、舞台に来てくださる皆様に「何か」を感じていただけるために、「今後の人生を歩み続けよう」と切に思いました。

『Le Fils 息子』の再演、そして新たに『La Mère 母』の同時上演が決まったと聞いたとき、心から喜びを感じました。ですが今は、役者としての使命感に駆られています。

一人でも多くの方々を救えるように、信頼するキャスト・スタッフの皆様と共に、稽古を重ね、フロリアン・ゼレールの2作品を皆様に届けられる日を心待ちにしています。

岡本圭人
若村麻由美
Profile
仲代達矢主宰の無名塾養成期間中の1987年に、NHK連続テレビ小説『はっさい先生』のヒロインに選ばれ俳優デビュー。エランドール新人賞をはじめ『金融腐蝕列島 呪縛』で第23回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『チルドレン』で第44回菊田一夫演劇賞、『ザ・空気』『子午線の祀り』で第25回、『Le Père 父』で第27回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。近年の主な出演作に、【舞台】『ハムレット』(23)、『頭痛肩こり樋口一葉』(22)、『Le Fils 息子』『首切り王子と愚かな女』(21)、【映画】『老後の資金がありません』『科捜研の女ー劇場版―』(21)、『みをつくし料理帖』(20)、【ドラマ】『科捜研の女 season23』(23・EX)、『この素晴らしき世界』(23・CX)など。1月29日、舞台『ラヴ・レターズ~2024 New Year Special~』に出演予定。
Comment

尊敬し信頼するラディスラス・ショラー氏の演出で、世界が注目する劇作家フロリアン・ゼレール氏の家族三部作、全作品に出演させていただくこととなり光栄です。三作品に共通するのは、夫婦とは、親子とは、家族とは。そして人間の永遠のテーマである、生・老・病・死、そして愛と喪失。

三部作は連作ではなく異なる家族の話のようですが、私は『Le Père 父』(2019)では娘アンヌ、『Le Fils 息子』(2021,2024)、『La Mère 母』(2024)では妻であり母であるアンヌです。今回のような2作品同時上演では、同じアンヌという名前には、娘、妻、母、女、人間を象徴していて、それは観客のアナタであると感じさせてくれます。作品同士の出来事や同じ台詞がミステリーの面白さを倍増してくれます。
今回日本初演の『La Mère 母』のように子離れをする難しさは万国共通なのかもしれません。日本にも「空の巣症候群」という言葉があるのを初めて知りました。自分の居場所とは。生きる甲斐とは。稽古を前に、再会するメンバーと新たな扉を開けるトキメキでいっぱいです。

若村麻由美
岡本健一
Profile
1985年、ドラマ『サーティーン・ボーイ』(TBS)で俳優デビュー、88年に男闘呼組として歌手デビュー。以降、舞台を中心にドラマ・映画など幅広く活躍。2010年から『恋人』『地獄のオルフェウス』など演出も手掛ける。『岸 リトラル』『ヘンリー五世』で第26回読売演劇大賞最優秀男優賞、『海辺のカフカ』『終夜』で第45回菊田一夫演劇賞、『リチャード二世』で第55回紀伊国屋演劇賞と第71回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。近年の主な出演作に、【舞台】『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』(23)、『建築家とアッシリア皇帝』『ラヴ・レターズ』『グレイクリスマス』『ロッキー・ホラー・ショー』(22)、【ドラマ】『悦ちゃん』(17・NHK)、『真田丸』(16・NHK)、『ラギッド!』(15・NHK-BSプレミアム)など。
Comment

『Le Fils 息子』が再演されます。

2021年に台本を初めて読んだ時に感じた、とてつもない苦しみと、どうすることも出来ない哀しみが、信頼する演出家、役者、スタッフと稽古を重ねることによって日に日に具現化されていき、劇場では物語に引き込まれ、演じているのか何なのかわからなくなり、ただ存在した事実だけが残っていたことを思い出します。あのような辛い思いは、もう「体験したくない」というのが正直な気持ちでした。

けれども、この親子の物語をより多くの方々に観劇して貰うことが、どれだけ大切なのかも実感しています。

同時に上演する新作『La Mère 母』が描く世界には、愛の始まりから長い年月を経て、いつの間にか愛情があふれ出して、あらゆる方向に流れ、その思いをどのように受け入れて、消えゆく時間をどのように過ごしたら良いのか、限りない愛の行方を彷徨い、どこまでも巡らせてしまう作品です。

これからの稽古で、予想もつかない感情が生まれることを楽しみにしています。

この特別な二作品は、観た方の感情を揺さぶる、とてつもなく凄い作品になることを確信していますので、是非、劇場で観て感じて欲しいと心から願っています。

劇場でお待ちしています。

岡本健一
伊勢佳世
Profile
大学在学中に劇団俳優座養成所に入所。2008年より前川知大主宰のイキウメに参加、以降退団までほぼ全ての作品に出演。劇団公演のみならず外部公演にも多数出演するほか、映像作品やナレーションでも活躍。近年の主な出演作に、【舞台】『Q:A Night At The Kabuki』『腹黒弁天町』(22)、『ダウト~疑いについての寓話』『Le Fils 息子』『父と暮せば』(21)、【映画】『HIEROPHANIE/ヒエロファニー』『劇場版 美しい彼~eternal~』『玉と婦人。』(23)、【ドラマ】『心霊内科医 稲生知性』(23・CX)、『美しい彼 シーズン2』(23・MBS/TBS)など。
浜田信也
Profile
大学卒業後、2004年に前川知大主宰のイキウメに参加。以降、全ての劇団公演に出演し、前川作品の世界観を体現する俳優として中核を担っている。2013年に『ミッション』『The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)』で第47回紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。近年の主な出演作に、【舞台】『無駄な抵抗』『人魂を届けに』(23)、『外の道 A la marge』『天の敵』『関数ドミノ』(22)、【映画】『遠いところ』(23)、【ドラマ】『ハヤブサ消防団』(23・EX)、『ラストマン-全盲の捜査官-』(23・TBS)など。
木山廉彬
Profile
2009年、文学座附属演劇研究所に第49期生として入所。その後、木ノ下歌舞伎、20歳の国、時間堂、らまのだなど話題のカンパニーに立て続けに出演。17年には『仮面ライダービルド』(EX)にてドラマ初出演、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』にて映画初出演を果たした。近年の主な出演作に、【舞台】『ワーク・イン・プログレス』(23)、『広島ジャンゴ2022』『ビゼー』『7丁目のながふじくん』『Le Fils 息子』『パンドラの鐘』『ウエストブリッジ』(22)など。
STAFF
作 フロリアン・ゼレール
©_samuel_kirszenbaum
Profile
1979年パリ生まれ。フランスの小説家、劇作家。 22歳で『人工雪』で小説家デビュー。これまでに5冊の小説と13本の戯曲を執筆。瞬く間にフランスを代表する現代劇作家となる。主な戯曲に『L'autre 他人』『Le Manège 調教』『Si tu mourais もし君が死んだら』『Elle t'attend 彼女は君を待っている』、2011年にモリエール賞(最優秀女優賞、最優秀演出家賞)を受賞した『La Mère 母』『真実』『嘘』『Une Heure de Tranquillité 平和な1時間』などがあり、フランス国内外で上演され成功を収めている。
『Le Père 父』は、2002年に3つのモリエール賞(最優秀演劇作品賞、最優秀男優賞=ロベール・イルシュ、最優秀女優賞=イザベル・ジェリナス)を受賞し、2003年には権威あるブリガディア賞(劇作家、演出家、俳優、プロデューサーなどからなる少数の審査員による投票)を受賞した。この戯曲は、オリヴィエ賞(英国:ケネス・クラナム)、トニー賞(米国:ブロードウェイ公演のフランク・ランジェラ)の主演男優賞も受賞している。
『La Mère 母』『Le Père 父』『真実』『嘘』『飛び立つ前に』など、ゼレールの戯曲は世界中で上演されている。映画監督デビュー作となったアンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コルマン主演の『ファーザー』(2021年日本公開)は、アカデミー賞2部門(主演男優賞、脚本賞はクリストファー・ハンプトンと共同)を受賞。また、ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、ヴァネッサ・カービー、アンソニー・ホプキンスが出演して戯曲『Le Fils 息子』を映画化(2022年公開、2022年ヴェネチア国際映画祭出品決定)し、映画監督としても高い評価を得ている。
演出 ラディスラス・ショラー
Profile
ラディスラス・ショラーはジャンルを問わず、パワフルな演出家として知られている。初期はボーマルシェの『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』、アルフレッド・ド・ミュッセの『戯れに恋はすまじ』などの古典のレパートリーを多く演出していた。
マルセイユで俳優としてキャリアをスタートさせ、マルセイユ国立劇場ラ・クリエの芸術監督で演出家ジルダス・ブールデと出会い、ラ・クリエを始めとする数々の公演で彼の演出助手を務めた。
2005年から2008年にはボーヴェのボーヴェ劇場でボーマルシェ、ジャン・アヌイ、イスラエル・ホロヴィッツ作品などを演出。 2009年にパリのマリニー劇場の総監督に就任したピエール・レスキュールに招かれ、イスラエル・ホロヴィッツ作『とても親愛なるマティルド Très Chère Mathilde』(原題My Old Lady、映画化作品の邦題『パリ3区の相続人』)をリーヌ・ルノー主演で演出。
以後、今日に至るまで、フランスのフロリアン・ゼレール、セバスチャン・ティエリー、ジャン=クロード・カリエール、イギリスのマーティン・マクドノー、アメリカのボー・ウィリモンなど、主として現代作家の戯曲30作以上を、ロベール・イルシュ、ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・ボネール、イヴァン・アタルといったフランスを代表する名優を使って演出している。
2019年と2021年には、東京芸術劇場でフロリアン・ゼレール作の『Le Père 父』次いで『Le Fils 息子』を演出。2024年には家族3部作最後の『La Mère 母』を演出する。
演劇と並行して音楽界にも進出。フランスの国民的歌手ジュリアン・クレールの2014年、2018年、2022年のツアーを演出。2015年にはミシェル・ベルジェとフランス・ギャルの曲を使ったミュージカル『抵抗 Résiste』をパレ・デ・スポールで、2016年には『オリヴァー・ツイスト ル・ミュージカル』(フランスのオリジナル)をサル・ガヴォーで上演した。
2018年には長編劇映画『レッツ・ダンス』を作・演出し、映画監督デビューも果たした。
彼の演出した舞台はモリエール賞に29回ノミネートされ、『Le Père 父』の最優秀演劇賞をはじめとする6賞を受賞。彼自身もモリエール賞の演出賞に4回ノミネートし、コメディ・ミュージカル部門で『オリヴァー・ツイスト ル・ミュージカル』と『抵抗 Résiste』で3賞を受賞した。
2018年には彼のキャリアに対しSACD賞(映画、舞踊、演劇、ラジオ、テレビの分野で功績のあった人および新人に贈られる賞)が贈られた。現在、ミュージカル『モリエール』が大ヒット上演中で、今秋にはフランス版『レ・ミゼラブル』の演出を手掛ける。
Comment

私が東京芸術劇場で演出するのは今回で3度目になります。ですが、フランスで初演していない作品を日本語で日本人の俳優で演出するのは初めてです。
実はフロリアン・ゼレールが『La Mère 母』を書いたとき、私はまだ彼のことをよく知りませんでした。彼が私を信頼し、フランスでの演出を任せてくれるようになったのは『Le Père 父』からです。

『La Mère 母』は、私には珍しく両親と共にパリの劇場で鑑賞した作品です。両親と一緒に週末を過ごす前に、芝居を見に行ったのでした。観劇の後、いつまでも芝居の話をし続けたことが長い間心に残っていました。
フロリアン・ゼレールの戯曲はシンプルな言葉で観客の心に語りかけます。この3部作(『La Mère 母』『Le Père 父』『Le Fils 息子』)は、悩み苦しむ家族の心を扱っています。
3作それぞれで起こる出来事(『Le Père 父』の消えていく記憶、『Le Fils 息子』の両親の問題で高校に行かなくなる息子、『La Mère 母』の親元を離れる年頃になった子供の旅立ち)が、家族という小さな世界を危うくし、安全と思えた家族を泡のように破裂させようとします。
フロリアン・ゼレールの主人公は幸運な人々です。社会的に成功した層に属すると言ってもいいでしょう。何の苦労もなく楽園に住んでいる人々ですが、ゼレールは彼らの人生が地獄に変わろうとする瞬間を捉えます。
物語が進むにつれて、相手を理解する力も、状況を打開する力もないことが分かってくる主人公とは、何と悲劇的でしょうか。

私は9月22日に父を亡くしました。アルツハイマー病でした。父の傍らで、私は『Le Père 父』のことをよく考えていました。記憶が消えていくと同時に人生のすべての思い出が消えてしまう、この恐ろしい瞬間を、フロリアン・ゼレールは何と見事に捉えていたのだろうと理解したのです。

私はこの3部作の舞台を美術的に似せることにしました。3部作が互いにリンクしているという考えが気に入っているからです。

『Le Père 父』と『Le Fils 息子』に出演してくださり、今回『La Mère 母』でも演出することになる若村麻由美さんに再会できること、また、『Le Fils 息子』で岡本圭人さん、岡本健一さんと一緒に舞台を創れることを心から楽しみにしています。

そして、長く、実り豊かなお付き合いとなったプロデューサー、アーティスト、技術スタッフの皆さんと再会できることを嬉しく思います。
私を感動させてやまないこの3部作を、東京で完成させることをとても幸せに思います。

ラディスラス・ショラー
フロリアン・ゼレール 翻訳齋藤敦子 演出ラディスラス・ショラー
美術エドゥアール・ローグ 照明北澤真 音響井上正弘 城戸智行
衣裳十川ヒロコ ヘアメイク佐藤裕子 演出助手/ドラマターグ下平慶祐
通訳加藤リツ子 舞台監督山矢源 瀧原寿子
アーティスティック・コラボレーター三原英二 制作藤野和美
宣伝美術永瀬祐一(BAT DESIGN) 宣伝写真設楽光徳 宣伝衣裳十川ヒロコ
宣伝ヘアメイク佐藤裕子 宣伝ヘアメイク(若村麻由美)長縄真弓
宣伝動画神之門隆広 宣伝DIPPS PLANET
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